
大手企業からベンチャーに行きたい!
というお話をよく聞きます。転職相談に乗らせて頂いた方の中で、実際にベンチャー 企業に転職した方も数多くいます。
しかし、彼らの全員が転職後に満足したキャリアを進めているかというと決してそうではありません。
むしろ

もう少し実態を知ってから行動すればよかった

今のタイミングで行くべきではなかった
という声を聞きます。
ぼく自身の経験としても、銀行を退職して次の転職先を探しているときに

ベンチャーに行って裁量権もって働けば、成長できる!
と考え、ベンチャー転職を本気で考えたこともありました。
しかし、ベンチャー企業に転職した周りの友人や、リクルート繋がりで知り合うベンチャーに勤めている人の話を聞いてる中で、

銀行からすぐにベンチャーに行かなくてよかった!
と、今では心から思っています。
今回は自身が体験した実体験や、周囲の人のケーススタディを基にその理由を解説したいと思います。
なぜそんなにもベンチャー企業に転職したいのか?
日本の大企業に勤めている若手社員は、裁量が少なく、自分が歯車の一部でしかないことに成長実感を持てずに不満を持っています。
ビジネスマンとしての向上心が高ければ高い人ほど、違う環境へのチャレンジに憧れる、というのが今の若手ビジネスマンに起きている現象でしょう。
向上心が高い若手ビジネスマンが、ベンチャーに行きたい理由は以下に収束されると思います。
まず、結論からお話しすると、大企業からいきなりドベンチャーに転職することはおススメしません。
ただし、とあるケースの場合のみ、転職してもいいと考えています。
ベンチャーへの転職の理由に対し、転職しない方がいいのはなぜでしょうか?
また、どんなケースであれば、転職を検討しても良いでしょうか?
これらについて記載していきます。
あなたはベンチャーでどんな成長できるのか?
ベンチャー転職の理由で最も多いのが、「成長したい!」という考え方。
大企業にいると、やることが毎日同じだったり、過去のやり方に従って行うだけで、自分自身の創意工夫がなかったりと、本当に自分が成長してるのか?が疑問になります。
ぼく自身も銀行員時代には、お客さんに同じような話をして、やる必要があるのかどうかもわからないようなルーティンの事務作業の繰り返しの日々に不安を覚えました。
そんなとき

ベンチャーにいって毎日が勝負の環境だったら成長できそう!

日々、何が起きるかわからない問題に取り組みたい!
と思うのはごく自然の流れです。
ただ、ここで問題があります。
それは、ベンチャー企業で働くということを、日々の業務に落とし込んでどれだけ解像度高くイメージ出来るか?です。
ベンチャー企業は制度や仕組みが整っておらず、自分たちで作っていかなければなりません。
一見、とてもビジネススキルがつきそうなタスクに見えますが、実際は雑務であることが多いです。
定型化された資料をゼロから作らないといけなかったり、事務用品の発注をしたり、社内システムの委託先とやりとりをしなかったりと、本来やるべきことに時間を割けないケースも多々あります。
しかし、大企業であれば、雑務や単純作業を行うために社内システムを導入してるケースが多く、非効率な事務などは簡素化されています。
ぼくは副業で中小企業向けにコンサル業務を行なっているので、たくさんの企業の内情を見てきましたが、大きい組織の中に身を置き、様々なものが整った中で自分の業務に集中できることがいかに素晴らしいか?を痛感しています。
ベンチャーは本当に裁量が大きい?
大企業にいると、一つの承認を得るために様々な書類を提出したり、色々なステップを踏まなければいけなかったりと、自分が出来る範囲が少なく感じます。
ベンチャー企業への転職の誘い文句として

若くても大きな裁量権を持って仕事ができます!
というものを頻繁に見かけますが、本当にそうでしょうか?
ベンチャー企業とは、起業した人にとっては人生そのものです。
場合によっては借金を抱え、様々な困難を乗り越える経験をした起業家にとっては、会社は何よりも思い入れがあるものであることは間違いありません。
会社がやっと軌道に乗って人を確保するフェーズになったところで、よそから来たあなたにどれだけのことを任せてもらえるでしょうか?
働き方や日々の動き方に関しては自由が与えられるかもしれませんが、会社の将来を決める方針や施策に関して、大企業から来た経験の少ない人に決定権があるでしょうか?
つまり、大企業以上に、決定権者(社長、起業家)の一存で物事や方針が決まるのがベンチャー企業です。
裁量が大きい、ということは転職先の会社として一体どういう意味なのか?自分がイメージしている”裁量”なのか?をしっかり理解する必要があります
もし、その裁量が「経営に携われる」のようなものであれば、冷静になって慎重な情報収集をした方が良いかもしれません。
プロダクト、サービスに共感できるから転職?

会社のサービスに共感しました
という理由のみで転職を決断する方がいます。
自分が共感できるサービスや商品に携われることは素晴らしいことですが、その理由だけで転職するのは危険です。
前述の通り、ベンチャー企業を取り巻く環境はとても厳しいです。
あなたの商品やサービスに対する熱量は厳しいものを乗り切れるほど、高いものでしょうか?
もし答えがYESなのであれば、会社に転職することなく、自身で同じサービスを作るべく起業すべきです。
経営者の方へのリスペクト、雇用条件、自身のキャリアプランなどの項目と同等の水準で、「サービスへの共感」があるのは良いことですが、その理由だけで転職するのは疑問が残ります。
経営者の方と同じくらいの熱量で、サービスや商品に魅力を感じてコミットできるのであれば、わざわざ他の人が作った船に乗らずに自分で事業を起こした方が様々な面で良いでしょう。
ベンチャー起業に転職しても良いケース
大企業とベンチャー企業を比較した時に、ベンチャー企業で働くことのメリットとして明確に言えることがあります。
それは、「一緒に働く人を選べる」ということです。
大企業の場合、非常に多くの部署があり自身がどこの部署に配属されるかがわかりません。当然、上司を選ぶことなどできません。
しかし、ベンチャーの企業の場合、規模にもよりますが、基本的には自分が働きたいと思った人と働くことが可能です。
部署は分かれているものの、ボードメンバーとの距離が近く、日々の業務の中で尊敬する人の考え方や仕事のやり方に触れる機会が担保されています。
大企業では上司は選べませんが、ベンチャー企業では必然的に上司を選ぶことが可能です。
だからこそ、自分が入りたいベンチャー企業の内情に詳しいエージェントに転職のサポートを依頼すべきなのですが、ネットでの記事や友人から聞いた断片的な情報のみであっさり転職してしまう人が多いのです。
通常の転職活動以上に、ベンチャーへの転職は神経質になる必要があるので、情報収集するルートは間違わないようにしましょう。
ベンチャー企業で働きたい人のキャリアプランは?
ベンチャー企業への転職に関してネガティブな意見を述べてきましたが、1つの事業や会社を自身が主体者になって伸ばしていくプロセスは魅力的ですし、成長角度が高いことも事実です。
ここで重要なのが「自身が主体者となって」ということです。
大企業で大した役職者でもなく、突出した成果もない状態でベンチャー企業に転職して「自分が主体的になって」という状態を作るには、その企業で高い実績と周囲からの信頼を得なくてはいけません。
このように入社後に駆け上っていく方法もありですが、当然様々なリスクが存在します。
・転職したベンチャー企業が拡大していかない
・ボードメンバーが変わる
・企業が成長し、外部から優秀な人が入社してきて生え抜き社員にポジションがない
これらはほんの一部ですが、規模が小さい組織だからこそ、変化に対する自分のキャリアにリスクを抱えることになります。
この解決策として挙げられるのが、「自分自身に確かなビジネススキルをつける」ということです。
自分が経営に携われるようなポジションにいれば、小さい組織の意思決定により、自分のキャリアプランが振り回されることを軽減できます。
将来の幹部候補としてのベンチャー転職を見据えた上で、大企業からの転職を検討している人はメガベンチャーやミドルベンチャーへの転職をオススメします。
これらの企業に行けば、自由度の高い仕事を行うことでの成長実感など、ベンチャー的な要素を体感することができます。
さらに、成果や実績を残すことで、より良いポジションでのオファーの話をもらうことが出来たり、幹部もしくはそれに近しいポジションでのベンチャー転職が可能になります
ぼく自身、リクルートで働かせてもらっている中で、色々な経路で転職オファーの話を頂きます。

リクルートのように、先輩社員に起業家やベンチャー企業で活躍している人が多い企業で働いていると、OB人脈も含めて色々な機会があるのです。
大企業からベンチャーに行くと、組織文化も社内体制も全く異なります。
そして何より、自分自身の力と経験が付いていないことで、ベンチャーの整っていない環境を変えるスキルもなければ、そもそも変える権限すら与えられることない可能性が非常に高いです。
ベンチャー企業で働くためには自身のスキルと経験に基づいたキャリアプランを冷静に判断し、適切なステップを踏むことが重要です。
そのために、大企業からいきなりベンチャー企業に就職するのではなく、リクルートやサイバーエージェント、楽天などのメガベンチャーをはじめとした一定規模の企業でのステップを踏むことが良い経験になるのではないかと考えています。
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