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SaaSモデルの利益とコストの考え方と重要な指標

2020 7/07

ぼくは新卒で銀行に入社し、4年間も働いていたので

そそのアイコン画像そそ

財務のことは何となくわかる!

と思っていたのですが、スタートアップで利用される指標や考え方は全然違うんですよね。

事業を開始して数年は赤字が当たり前の世界なので、絶対に返済されることが分かっている銀行の仕事と異なるのは当然と言えば当然かもしれません

しかし、いくらスタートアップといえど、将来的に事業として成り立つ、つまり安定的に利益が出る見込みがなければ全く意味がありません。

このブログでは、難しいベンチャー界隈の用語や考え方を、脳みそ少なめのぼくが咀嚼して、より多くの人がベンチャー界隈に興味をもらって頂けるよう、一緒に勉強していくことを目的としています。(既にベンチャー界隈に生息の方は、優秀な他の方の記事をご覧になることをオススメします)

今回は、スタートアップでよく用いられる「利益」と「コスト」に関わる考え方や指標について一緒に学んでいきましょう!

この記事を書いている人

・新卒で銀行に入社(not メガバンク)4年間を法人営業に捧げる
・銀行を退職し、7ヶ月間のニートになる
・リクルートの営業職として中途入社し、1年後には50人の営業リーダーに
・3年間のリクルート営業生活を経て、ベンチャーキャピタリストに転身

目次

企業の売上と利益を測る一般的な指標

ベンチャー企業に限らず、すべての企業は損益計算書(P/L)を作成して、儲かっているの?損しているの?ということを示しています。

利益を測る指標として、「売上総利益」「営業利益」「純利益」というものがあります。※「経常利益」もあるのですが、今回は触れないことにします。

会社で例えるよりも、1つの商材で考えた方が分かりやすいので、りんごを仕入れて販売する卸売業と仮定して、考えてみましょう

売上総利益

50円で仕入れたリンゴを100円で販売したとします。

売上から原価(仕入れた金額)を引いた金額のことを『売上総利益』または『粗利』と呼びます。めちゃ簡単ですよね。

営業利益

安く仕入れたリンゴが、自動的に売れるなんてことはありませんよね?そんな楽なビジネスであれば、みんなリンゴ屋さんになってしまいます。

50円で仕入れたリンゴを100円で売るためには、お客さんに知ってもらったり、営業しないと売れません。

売上から仕入れ値を引き、さらに販売するためのコストを引いた利益のことを『営業利益』と呼びます。

50円のリンゴを販売するために30円をかけて100円で売れたら、20円の利益=営業利益になります。

当期純利益

さらに企業は利益を上げると税金を払わなくてはいけません。

売上から仕入れ値も引いて、販売するためのコストも引いて、税金も引いて残った利益が「当期純利益」になります。


当期純利益とは言葉の通り、全部差し引いていくら利益残ったの?ってことです。

ここまでは一般的な財務の基礎中の基礎でした。ベンチャー企業とか関係なく、ビジネスマンであれば誰でも知っているレベルの内容です。

ここからが普通の企業ではあまり馴染みのない財務指標にちょっとだけ突入していきます。

限界利益と限界利益率

ビジネスマンのアイコン画像ビジネスマン

げ、限界利益・・・・

簿記を勉強していた方やメーカーで原価計算している方はご存知かもしれませんが、一般の方には馴染みがない指標ですよね。

お恥ずかしながら、ぼくも銀行員だったにも関わらず、少し研修でやったくらいであまり意味を理解していませんでした

ただ、『限界利益』という考え方は、サブスクリプションモデルのSaasビジネスでは、とても重要な考え方なのです。

限界利益

限界利益とは、商品やサービスを販売した時に直接的に得られる利益になります。

限界利益=売上ー変動費

変動費とは、販売する量に伴って変化するコストのことです。

これまでのリンゴ販売業者で考えてみましょう。

リンゴの仕入れ値や保管するための費用はリンゴの取扱量によって変化するので、変動費となります。

一方、リンゴ販売業者としての事務所の家賃は変わりませんので、固定費となります。

限界利益とは、1つのサービスや商品を販売した時に得られる最大の利益ということになります。

商品そのものやサービス自体を販売して儲かるの?儲からないの?ということです。

固定費も必須のコストであるものの、仮にリンゴを一兆個の販売をした時には、売上に対する家賃の割合は限りなくゼロに近づいていきますよね

一方、値段は安くなるかもしれませんが、リンゴを仕入れて保管するコストは1兆個であろうと、1つ1つのリンゴに対してかかるコストです。

そして、売上に対する限界利益の割合を『限界利益率』と呼びます。

限界利益率 = 限界利益 /  売上

限界利益率は後ほどご説明する指標において重要なので、覚えておいてくださいね!

SaaSの重要指標『ユニットエコノミクス』

ここまでご説明した様々な種類の「利益」のお話は、すべての企業に共通する指標でした。

これから取り上げるのは、ベンチャー企業の利益の試算や事業の拡大性を判断する際によく使われる『ユニットエコノミクス』という指標です。

SaaSのビジネスモデルではサブスクリプションの課金形態がメインであり、先ほどのりんご屋さんと違って、1回売って終わり!というわけではありません。

りんご屋さんのように売り切り型の場合、1つの商品での売上と利益をベースに考えますが、SaaSビジネスの場合、1人のお客さんをベースに考える必要があります。

りんごを一個売ると、「りんごの販売価格ーりんごの仕入れ価格」が利益の根本的な考え方になりますが、SaaSのようなサブスクリプションモデルの場合、「1人のお客さんの利用料ー1人のお客さんを獲得するコスト」となります。

お客さん1人1人の単体で見たときに儲かっているの?儲かっていないの?を測る指標が『ユニットエコノミクス』なのです。

ユニットエコノミクス=LTV(顧客生涯価値 )/CAC(顧客獲得費用)

例えばNews Picksを利用する人の平均の期間が3ヶ月だった場合、LTV(顧客生涯価値)は1,250円/月×3ヶ月=3,750円になります。

1人のお客さんを獲得するためのコスト(CAC)が、3,750円を上回っていたらどう考えても赤字ですよね?

出てくる言葉は少し難しいですが、考え方は非常にシンプルで納得感があると思います。

LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の算出方法や考え方はちょっと奥が深いので、それぞれ一緒に勉強していきましょう!

LTV(顧客生涯価値)

先ほどのNews Picksの例では簡単にLTVを計算しましたが、計算式は以下の通りです。

LTV = 1顧客あたりの1ヶ月の値段×1顧客の利用期間

News picksの例では、1,250円(1顧客あたりの1ヶ月の値段)×3ヶ月(1顧客の利用期間)=3,750円(LTV)となります。

ただこの場合、『1顧客あたりの1ヶ月』の値段は簡単に算出できますが(料金表見るだけ)、『1顧客の利用期間』をパッと出すことができません。

そこで、『1顧客の利用期間』の算出方法として、チャーンレート(解約率)を利用して求めます。

1顧客の利用期間 = 1 / チャーンレート(解約率)

さらに、『限界比率』のパートで求めたように、SaaSのLTVも利益ベースで考えないといけませんので、1顧客の1ヶ月の値段に『限界利益」を掛けます。

LTV =  {1顧客あたりの1ヶ月の値段 ×限界利益} × 1顧客の利用期間 (=1/チャーンレート)

となります。式だけ見ると難しそうですが、言葉で説明、理解すれば難しくありませんね。

CAC(顧客獲得費用)

CAC は細かく分類して見ていこうと思うと、非常に複雑で細かい作業になります。

しかし、資金が命のスタートアップにおいては非常に重要な指標ですので理解しておいた方が良いでしょう。

特に、外部委託にマーケティングを依頼している企業は要注意です。

webマーケターと名乗ってはいるものの、チャネル毎に細かく分析していくと、全く効果のない有料集客をしていた、なんてことはざらにあります。

CAC = 営業とマーケィング費用 / 新規顧客獲得数 

CACは上記のように求めますが、これだけでは不十分です。

なぜなら、新規の顧客というのは、営業やマーケティングをしなくても獲得できていたかもしれません。

特に、Facebook広告やYahoo広告、電車の中吊り広告をしていた場合、どれか1つをやらなくても新規顧客獲得数は変わらなかったかもしれないという可能性が大いにあります。

そこで、有効な集客施策を行えたかどうかを知るために以下のような指標の使い方をします。

特定のCAC = 特定の広告やチャネル / それによって獲得できた新規顧客数

集客方法の種類によっては、このCACが高騰している可能性もありますので、マーケィングの人に一存しないで、チェックすることが重要です。

ユニットエコノミクスの目標値

ビジネスマンのアイコン画像ビジネスマン

なんとなく意味はわかったけど、結局ユニットエコノミクスがどのくらいの数値ならいいの?

指標の意味や、求め方のイメージがついたところで、ユニットエコノミクスの目標値が気になるところです。

ぶっちゃけ、ぼくも本質的な理由は分からないのですが、”3”以上であればいいと言われています。

LTV/CAC = ユニットエコノミクス ➡︎3以上が望ましい

1万円のコストを使って、3万円払ってくれるお客さんを獲得できれば合格ラインということです。

あくまで一般論なので、自社のSaasのビジネスが対峙している業界や顧客層などを鑑みて、独自のユニットエコノミクス数値のKPIを設定したほうが良いでしょう。

昔ながらの製造業や広告業と異なり、直近のサービスはビジネスモデルや料金体系が異なっており、それに従いKPIとおく指標や利益の考え方も変わってきています。

今回は馴染みの薄いSaasモデルのKPI指標について記載させていただきました。

少しでもみなさんの参考になれば幸いです!

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この記事を書いた人

そそのアバター そそ 現コーポレートベンチャーキャピタリスト

元リクルート営業、元銀行の法人営業。銀行の営業では全国1位、リクルートでは3年の在籍で2回の年間表彰を受賞し、新規事業PJ立ち上げも経験。営業一筋だったキャリアから一転してベンチャー投資の世界に飛び込むまでのキャリア論を記載

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