
銀行員をずっとやりたい訳じゃないなんだけど、転職するのもなぁ・・
ぼくは4年間いた銀行からリクルートに転職したのですが、元同期の銀行員から「相談に乗って欲しい」と言われることが多々あります。
さらに、このブログを見て頂いた銀行員の方からも同じような内容のご相談も頂きます。
皆さんの中にも

今の会社にずっといていいのかな・・・?
と思っている人は多いのではないのでしょうか?
今回は、銀行の元同期の優秀な営業マンに「将来のキャリアプラン」や「転職について」インタビューしてきました。(※当初の目的は、ぼくの転職体験について聞きたいという向こうからの要望でしたが・・・)
彼は他の企業でも活躍できるような優秀なビジネスマンであり、本人自身も「銀行は嫌だ」と言っていました。
にも関わらず、『転職せずに銀行員でいる』現状維持という選択肢を取っていることに、とても興味が湧いたからです。
この記事を通じて、銀行員の方や大企業にお勤めの方のご参考になれば幸いです。
- 新卒で銀行(not メガバンク)に入社し、4年間法人営業に従事
- 退職後、7ヶ月間のニート生活を経てリクルートに入社
- 3年間のリクルート営業を経て、ベンチャーキャピタリストに転身
銀行の仕事の最近の状況は?

久しぶり!同期でも活躍してるって聞いてるけど最近どうなの?

一応、成績的には良い感じできているよ。有名で大きい支店にも配属されたし、社内評価は良い方だと思うよ

すごいね。今年で入社8年目になるけど、そろそろ役職者になれるんだっけ?

早ければ、今年の7月にマネージャーになれるよ。同期の中でも半分以上はなれるんじゃないかな?まあそれもみんな優秀な同期がいなくなったおかげなんだけどね。笑

最近はより一層、世間のコンプライアンス意識が強まってきたから、銀行内の雰囲気も変わってきた?

まあ少しは変わったかな。大声で罵倒するような、明らかな個人攻撃は減ったけど、言い方や態度などの表面的なものであって、根本は改善されていないと思うよ

そうだよね・・・・何十年もかけて作られた雰囲気はそう簡単に変わらないよね。ちなみに今の支店は大丈夫?

今は成績も安定してきたから割と大丈夫かな。半年くらい前まではやばかったよ。ある日、朝起きてベッドから起きられずに会社を休む日が1ヶ月に1回くらいあった。

え、お前でも!?(彼はとても病むようなタイプでないのでびっくりしました)それはなんでなの?

副支店長が1人1人をみんなの前で怒鳴りつけるような人で・・・・大きい支店なので50人の前で毎日罵倒されるので、おかしくなりそうだった

最初の支店は俺も同じような経験したので気持ちは分かります・・・

俺はまだ良い方だったんだけど、狙われていた先輩は本当にひどかった。副支店長が座っている方の顔面半分の神経が動かなくなって、退職代行サービスを使って辞めていったよ・・。後任が俺だったから、引き継ぎが大変すぎてかなり地獄だった・・

相変わらず、色々損な役回りをしているんだな笑
銀行に居続ける目的は?

ぶっちゃけ転職とか考えないの?俺はお前と仲良いし、同期だから正直に言うけど、それだけストレスを抱えながら銀行にいる意味が全く分からない笑。そのくらいの給料でストレスが50分の1の会社なんてたくさんあるよ

半年前の辛い時期は本当に考えたよ。でも、当時はそれよりも気が病みすぎて転職活動もやる気が起きなかった。今では身の回りの状況が改善されて、その余裕は少しはあるけど、結婚もしたから、一旦様子見している

反論させてもらうけど(笑)、2,000万も給料もらっているわけでもないんだし、銀行の将来を考えた時に給料が上がる気配はないから、結婚は転職しないことと関係ないんじゃない?

まあ給料面ではそうだな・・・。でも勤務時間は一応厳しく決まっているし、土日休みだから、労働環境的には悪くないかな、と思ってる

いやいや、もっとストレスなくて、同じ勤務時間の会社とか山ほどあるから笑 しかも銀行って上司が誘ってくる飲み会や歓送迎会や接待ゴルフを考えたら、プライベートな時間取られずぎだからね

まあそれも分かってはいるんだけどね。転職で失敗するケースもあるし、さっきも言ったように、早ければ今年には役職者になれるというのもあるんだよね

気持ちは分からなくはないけど・・・・・・。ということは、銀行で上に行きたいって言っていることと同義になるけど解釈合ってる?支店長になりたいの?

いや、それは全くないわ。支店長は役員に数字で詰められて、ストレスやばそうだし、それ以上の昇進はほとんどできないし。

じゃあ尚更なんで・・・・・?

うーん、正直、自分が他の企業で通用する自信がないし、上手くいくイメージが全くないんだよね。
本記事は、ボイスレコーダーで録音したものを書き起こしているのですが、彼の『辞めない理由』に関して、ぼくが反論するような会話になってしまっていたので、後日とても反省しました。笑
Kくんの言っていることは分からなくはないのですが、それは銀行のような大企業の社員にありがちな「なんとなく毎日過ごして居たら、転職のタイミングを逃してしまった典型的なパターンです。
退職したいけど出来ない銀行員
彼だけでなく、同期や大学時代の友人も含めて50人以上の銀行員に転職の話を聞き、その8割以上が銀行を辞めたいと言っていました。
それにも関わらず、実際に退職する人は本当に僅かです。感覚値ですが、1割くらいだと思います。
なぜ彼らが転職活動をしないのでしょうか?
その理由は大きく3つあると思います。
・銀行内での地位向上による自己肯定感
・銀行に搾取される小利口な人の考え方
・転職の考え方がそもそも間違っている
Kくんに代表されるように多くの銀行員の「転職しない理由」に共通する3点について述べていきます。
銀行内での地位向上による自己肯定感
銀行に入社したての時は、やる気に満ちて資格を取ったり、経済のニュースを読んでたりしていた人が、銀行の業務の実態を知っていくにつれ、どんどん輝きを失っていきます。
具体的には下記のような理由によるものです。
「意味不明な社内ルール」
「ストレスに対しての給料の低さ」
「完全年功序列の評価制度」
そして20代後半になってくると、入社当初に感じていた、銀行への違和感や不信感についての対処法が身についてきます。
・派閥を知り、服従すべき上司が見極められる
・稟議の可否は社内人脈によるものだと知る
・銀行の仕事は社会的信用があると自分に言い聞かせる
銀行員本人が悪いのではなく、独自の文化が確立されている銀行で生き残っていくためには、そうしなければいけないので仕方のないことです。ぼくの同期のKくんもまさにそのタイプでした。
3〜5年の銀行経験を積むと、人によって思考の違いが生まれます。

銀行っていう業務が大体分かったから違うことしてみよう

せっかく銀行内での動き方が分かったから辞めたらもったいない
前者はすぐに行動できる人の考えであり、後者は考えている内に転職のタイミングを逃していく人の考えです。
20代後半になると、特に30歳に近い年齢になるとポテンシャル採用の文脈での転職の可能性はなくなっていきます。
自分の業務経験と年齢がどのくらいの市場価値があるのか?を知っておかないと完全にタイミングを逃します。
銀行に搾取される小利口な人の考え方
銀行のシステムは非常に上手くできています。
銀行業務が慣れてきた20代後半のタイミングで、給料が上がったり、役職になれたりします。
銀行員だからこそ、損得勘定を考えることが出来、真面目であればあるほど、このシステムに翻弄される傾向があります。
銀行で成績を残せるようになり、年齢も比較的若く、転職市場的に価値があるタイミングで、給料や役職を与える銀行の人事システムは本当に良く出来ているなぁと思いました。
しかし、そんなことに振り回されるのは銀行という世界しか知らないからです。
一度、銀行から離れた身からすると、数万の給料や銀行の役職なんてどうでもいいことだと痛感します。特に20代のビジネス人生は何にも変え難いほどの価値があるものだと思います。
銀行の法人営業で、一定の成績を残した人は他の企業でも活躍できる人が多いのが現実です。
同期の中でも一定以上の成績を残したことがある方であれば、他の会社で同じくらいの成績を残せば、年収が1,500万を超えることは難易度が高いものではありません。
銀行はどれだけ数字を残しても自分の給与に反映されることはありません。ストレスの大きさを考えたら、毎月の給与収入は低すぎます。(ぼくも転職して色々な人に話を聞いてから初めて知りました)
銀行は副業もできないので、会社員の給料=人生で稼げるお金です。
銀行では合理的な判断をできる人が、知っている世界が狭すぎる故にミスジャッジしているケースはたくさんあるのではないか?と思っています。
・転職を考えるタイミングで、給料や役職などの待遇が上がる仕組み
・視野が狭いと銀行員の考え方が全てになってしまう
・銀行員の場合、給料が自分が稼げる金額の上限
転職の考え方がそもそも間違っている
Kくんをはじめ、銀行員の人から転職相談される際によく聞くのが
もっと実績が出てから転職活動しないと良い就職先が見つからない

今の自分では他で通用するスキルがないから不安
といった内容です。ぼくも銀行員の端くれだったので、この気持ちはとてもよく分かります。
このようなぼんやりとした不安が形を変えていくと、Kくんのような発言をします。
あと1年で頑張れば役職者になれる
”役職者”のように、なんとなく価値がありそうだけど、自分自身が望んでいないものを目指すことは重要なことでしょうか?
これとよく似たケースとして、

今の案件が決まれば大きな成果が出る
などが挙げられます。転職したいけど出来ない人がよくいう言葉です。
しかし、転職するにあたって、銀行での大きな案件が実際に成約になったかどうか?はあまり関係ありません。
その結果自体よりも、なぜ他の人が目をつけなかった問題に着手し、どうやってその課題を解こうとしたか?が重要なのです。
反対に、結果が出ても過程を話せないと転職活動では全く評価されません。
入社3年になったら転職のチャンス
たとえ大きな成果がなくても一定期間、銀行の業務経験があり、かつ年齢が若い方が転職活動を成功させやすいのです。
なぜなら、他の企業では、銀行の仕事をそのまま行う訳ではないので、ある程度若くないと自社でフィットするのに時間がかかるからです。
さらに、銀行は長くいればいるほど、スキルが指数関数的に身につく仕事ではありません。
「スキルがついてから」ということは、転職活動をしない理由になりません。
しかし、「新たな業界にチャレンジしたい」「胸を張って言えるような銀行での業務経験はない」というような20代の銀行員の方は『転職はしなくても転職活動はすべき』です。
銀行から転職したからこそ感じること
今回は多くの銀行員の転職相談を受けてきた感想や意見を書かせて頂きました。これは銀行に限らず、大企業サラリーマンに当てはまるのではないか?と思います。
銀行時代の同期の多くは『そろそろ転職しようかな』と口々にしていましたが、実際に転職した人と残り続けている人にはっきりと分かれました。
そして、銀行に残った人のほとんどが自らの意思ではありません。
銀行に残ることを決断するのであれば、とても良いことだと思います。銀行の業務は勉強になりますし、面白い部分も沢山あります。何より、どこで働きたいか?は人それぞれ違うからです。
しかし、問題なのは「決断と行動をしない結果、銀行に残ること」です。
同じ銀行に残るのでも、『銀行員で頑張ることを決断して残ること』と、『決断を先延ばしにしたり、考えないで残ること』は全く異なります。
今、行動しない人はおそらく銀行員であり続ける
銀行員でありがちなのが、自分の成績が上がらない時や支店で上手くいっていない時に転職活動を考え、少し状況が落ち着いてくると転職を考えなくなるといったケースです。
これは、転職市場の価値と全く逆の動きをしています。

とは言ってもまだ転職は本格的には考えていないよ・・・
確かに転職エージェントに登録をすると、「転職しなかった時に断りづらい」「履歴書を書いたりするほどの気持ちでない」のように、まだ本格的に転職を考えていない人はキャリア全般の相談やアドバイスをもらう機会を作った方が良いでしょう。
転職はしなくてもいいですが、転職活動は絶対にした方がいいです。くだらない飲み会やスマホいじっている時間を他の業界を見たり、そこで働いている人に話を聞くことで世界が変わります。
下記のサービスはリクルート出身の方が行なっているサービスで、求人を紹介するのではなく、キャリア全般についての相談に乗ってくれますので、まだ本格的に転職を考えていない人は相談してみてください
銀行員として頑張るか違う道を選ぶか自分で決断しよう
会社員でいると、「行動しない理由」はいくらでも出てきます。
しかし、そのままでは、今の会社の今の仕事の延長線上でビジネス人生が終わってしまいます。
もしそれが本意でないなら、小さなアクションでもいいので行動を起こしていくことが大切です。最後に記載したように転職しなくてもいいので、『転職活動をする』ことが大切です。
最後にこの記事内でご紹介してきた、銀行員のタイプ別のおすすめエージェントを再掲しますので、まずは小さな行動からしてみることを目標にしてみてください。
経験、実績豊富な営業マン、本部業務経験のある銀行員向け
他業界へのポテンシャル採用も視野に入れた若い銀行員向け
まだ転職するか決めていないが、キャリア相談したい銀行員向け

みなさんが自分が納得のいくビジネスマン人生を送れることを祈っています。
ぼくのキャリアについては別記事に詳細に記載していますので、ご興味ある方は是非お読みください。
※2020/2 追記部分
後日談ですが、奥様が彼に対して銀行を辞めてほしいと以前から思っていたらしく、ぼくと会話した後に、銀行から事業会社に経理に転職をしたことでお礼のお手紙をいただきました。(笑)
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